甘い(朝の)生活

イタリアに旅行をしたことのある方であれば、一度は「イタリア式」朝食に驚いた経験がある方も多いのではないかと思います。イタリアのホテルの多くは、いわゆるコンチネンタル・ブレックファスト、つまりコーヒーと甘いパンやビスケット程度の簡単なものなので、日本の旅館の和朝食やアメリカン・ブレックファストになれている人からすると、「こんなおやつみたいな朝食なの?!」ということになってしまうかもしれません。

colazione_1出典:http://www.hotelgardeniajesolo.it/colazione.html

イタリア人の一般的な朝食は?

ではホテルではなくて、普通のイタリア人は毎日どんな朝ごはんを取っているのか?というと、基本的にコーヒー類(カプチーノかエスプレッソなど)と甘いもの、というのがやはり基本ということになります。スーパーに行くと、様々な種類の朝食用のビスケットやケーキやパンのようなものがずらりと並んでいます。そのパッケージやテレビCMを見ると、「元気な一日のためにこの○○で健康的な朝食を!」というようなうたい文句があったりするのですが、やはり日本人の感覚からすると、血糖値が急上昇して元気が出た気分にはなるかも知れないけど健康的な要素はほとんどないよ、といつも突っ込みたくなってしまいます。健康志向の人だと、これをシリアルにしたり、ヨーグルトと果物にしたり、スムージーにしたり…ということはありますが、いずれにしても日本の伝統的な朝ごはんに比べると、糖質の多い内容であることに変わりはありません。

大の甘いもの好きの私は、その手軽さと甘さの誘惑に負けて、イタリア在住時には、ビスケットやヌテッラをたっぷり塗ったフェッテ・ビスコッターテ(甘くないラスクのようなもの。これもイタリアの朝の定番)などを毎朝食べていたのですが、さすがに目に見えてみるみる太ってきてしまったので、甘いもの朝食を止めて、前日のおかずの残りで野菜やたんぱく質を取るなど、自分なりにバランスの取れた内容に変える工夫をしていました。

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出典:http://www.cucinare.meglio.it

イタリア人の有病率は日本人より低い!?

しかし、朝からかなり糖質を取っているイタリア人ですが、なんと日本人よりも糖尿病の有病率は低いようです。もちろん、糖尿病は遺伝的な要素も大きいということなので、糖の摂取量だけで論じられることではないと思いますが、やっぱり不思議ですね。もともと糖の吸収が穏やかな体のつくりになっているのか…?

皆さんもイタリア旅行の際にはぜひイタリア式の朝ごはんを体験してみてはいかがでしょうか?せっかくなら街のバールでカプチーノを飲みながら、中にあまーいジャムやヌテッラの入ったブリオッシュ(イタリア中部以南では「コルネット」と呼ばれます)をかじるのがおすすめです。毎日はちょっと危険ですが、たまには欲望の赴くままに甘いものづくしの朝食というのも結構気分が上がるものです。もちろん甘党だけでしょうが…

Kaori Tanaka

某大手金融機関勤務ののちイタリア留学。ペルージャ外国人大学でイタリア語を学び最上級クラスまで修了。イタリア政府系機関などでの勤務を経て、現在、フリーのイタリア語翻訳・通訳として活動中。

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