2015年10月22日、サンレモ音楽祭で有名なリグーリア州の小都市サンレモ市の公務員35人が、詐欺の容疑で逮捕されました。タイムカードを他人に押してもらい、こっそり仕事をさぼっていたと疑われています。警察の監視カメラにより、彼らが仲間のタイムカードをまとめて押す姿が撮影されました。
こちらが実際の映像 ↓
コーヒー休憩はもっと深刻?
「タイムカードを押してもらって仕事をさぼる」という行動は、たしかに、不正行為としては極端な例です。とはいえ、公務員の職務怠慢は、イタリアではよく話題になります。
イタリアの公務員が日常的に行う習慣に「コーヒー休憩」というものあります。市役所の喫茶店などでコーヒーを飲みながら仲間と長話しをしている間、タイムカードは押したまま。こちらの方が実は深刻かもしれません。
「タイムカードの詐欺師」の取り締まり
政府は、一応、いわゆる「タイムカードの詐欺師」を発見したら、48時間以内に解雇するという、新しい法律を作りました。正規雇用の公務員は、法により手厚く保護されています。そのため、今までは、どのようなことをやっても、罰により解雇されるようなことはほとんどありませんでした。
最近のイタリアでは、不景気や自由主義的な政策の影響もあり、保障の少ない短期雇用の若者たちが増えてきました。そのため、「保障が多すぎる」あまり働かない労働者と「保障が少ない」よく働く労働者との格差の問題が改めて注目されるようになりました。
イタリアでは、公務員になるには「コネが必要」と言われています。このような「ラッキーな」市民に対し、コネも金もない「アンラッキーな」市民が抱く不公平感は、かつてないほどに高まっています。
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